[キーワード]日本におけるワーケーションと地方創生への可能性

新型コロナウイルス感染拡大を受け、世界中で新しいライフスタイルや働き方が広がっています。

今回はその新しい働き方の中から「ワーケーション」について取り上げ、用語の解説から日本における普及の可能性を地方創生と絡めて考えていきたいと思います。

ワーケーションについて理解を深めながら、地域活性化への糸口を掴んで頂ければと思います。

目次

ワーケーションとは

まずはワーケーションという言葉から簡単に解説していきましょう。

ワーケーションとは「仕事」を意味する「Work」と「休暇」を意味する「Vacation」 を組み合わせた造語です。

別の記事で解説しているリモートワークの一種で、オフィスを離れてリゾートや旅先で仕事をする形態を表します。

似た形態にブリージャー(bleisure)というものもありますが、こちらは出張先で滞在を延長するなどしてレジャーも楽しむものです。

ワーケーションは休暇ありきで行き先を決め、その旅先で仕事をするのに対し、ブリージャーは出張先で余暇を楽しむというスタイルです。

では、よりワーケーションについて理解を深めるために具体的なスケジュール例を見てみましょう。

スケジュール例
  • 1日目(土) 移動 / 休暇
  • 2日目(日) 休暇
  • 3日目(月) 仕事
  • 4日目(火) 仕事
  • 5日目(水) 仕事
  • 6日目(木) 休暇
  • 7日目(金) 休暇
  • 8日目(土) 休暇
  • 9日目(日) 移動 / 休暇

こちらは全9日間の行程で1日目と9日目がそれぞれ休日の移動日で、3日間の仕事日が休暇に挟まれる形となっています。

この場合6日目と7日目に有給休暇を取っており、2 日休むだけで旅先での長期滞在が可能となっています。

ここにワーケーションのメリットが見て取れますね。少しの日数休むだけで普段行けないような場所まで遠出ができ、より充実したプライベートな時間を過ごすことができるのです。

また旅先での発見が新たなインスピレーションを生み、仕事への相乗効果が生まれる場合もあります。

もちろん仕事と休暇の境目が曖昧になる点は否めず、普段リモートワークをされていない方には少しハードルが高いかもしれません。

とはいえ諸外国ではすでに導入されており、コロナ禍において日本でも注目され始めたのがこのワーケーションなのです。

ここまででワーケーションについての全容は掴めたかと思います。では次に果たして日本でも普及していくか考えていきたいと思います。

日本人の仕事観とマッチしにくい

結論から申し上げますと、日本でのワーケーションの広がりは少々難しいのではないかと思います。

それはやはり日本人の仕事観にそぐわないというのが大きな要因の一つでしょう。

日本人の仕事観とはどういうことかと言うと、端的には「仕事は仕事、休暇は休暇」という考え方です。

多くの日本人にとって仕事というのは基本的には辛いこととして考えられがちです。

そして仕事をする喜びというのは、辛いことを乗り越えある目標を達成した時にこそ感じられるべきという考えもあるように思われます。

さらに一般的に仕事というと、週5日40時間以上という時間的な条件、またオフィスで行うという物理的な条件も当然のごとく刷り込まれてきました。

そういった条件に従って行う辛い労役の報酬として給与やボーナスを受け取るという構図が大半の日本人の仕事観を支えているのではないでしょうか。

特にこういった仕事観は年齢が高い人ほど強い傾向にあると思われます。ただこの仕事観悪いものではないし、もちろん優劣はつけることはできません。

ただワーケーションと照らし合わせて考えてみると、やはり受け入れがたいことだと思ってしまう日本人が多いのではないでしょうか。

なぜなら辛いことへの我慢の上に成り立つ仕事と、その真逆ともいえる休暇を同時に行うことは気持ちが悪いとさえ思えてしまうからです。

よって日本でワーケーションが広く普及していくのは難しいだろうと考えているのです。

それでは次にワーケーションがもたらす地方創生について考えてみましょう。

地方創生の起爆剤となりうるか

ワーケーションはリモートワークの一つですから、どこで仕事をしてもいいことになります。

そして一般的にワーケーションの行き先として考えられているのが、リゾートや人気観光地などです。

日本でも多くの保養地・観光地がありますが、その多くは地方部に集中しています。

そのためワーケーションと地方創生をセットに考えようとする人も多くいるようです。

ただ実際にどれほど寄与するかというと、あまり期待はできないかと思います。

それは先述の通り、ワーケーションが日本人の仕事観とマッチしにくいため日本での広がりはあまり見込めず、それに伴い市場規模も自ずと小さくなることが予想されるためです。

確かに海辺のコテージなどでリゾート気分を味わいながら仕事をするというのは一瞬憧れてしまいますが、それが今後一般的な光景になるとは思えません。

ただ地方に目を向ける一つのきっかけになることは間違いないでしょう。

ワーケーションは短期的に働く場所を変えるようなスタイルですが、コロナ禍においてずっとリモートワークという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そういう状況下では誰もが「わざわざ都会に住む必要もないか」と思い、住む場所・生活する場所の選択肢を広げ地方移住を考える方も出てくることでしょう。

また試しに地方部のリゾートや観光地でワーケーションを行った方が、たいそうその地域を気に入り移住なんてことも考えられるかもしれません。

ですからワーケーション自体の市場規模は小さいかもしれませんが、地方へ目を向ける一つのきっかけにはなるだろうし、長期的には地方創生に寄与する場合も十分考えられると言えそうです。

地方側は本質的な議論を

そう考えると地方側も自治体をはじめ、必要な準備は今のうちから初めておいたほうが良さそうです。

これまで通り移住相談窓口や空き家バンクの管理は行うとして、今一度自分たちの地域が持つ魅力や強みを洗い出すことも必要だと思います。

産業・文化・人・食など様々な切り口からアピールポイントを模索し、ワーケーションで地域に訪れた方にいかにしてそれを伝えていくか。

そういった仕組みづくりは時期尚早ということはありませんし、是非とも取り組んでいってほしいです。

逆に懸念しているのは、ワーケーションを絡めた箱物をつくりリモートワーカーや観光客を誘致しようとする考え方です。

これは短絡的思考以外のなにものでもなく、全くといって成果に結びつくものではないでしょう。

ワーケーションの施設としてどんなに優れたものを作ったとしても、その便益はその施設にしか回らないでしょうし、長期的な地域の発展には到底結びつくはずもありません。

少々話がそれてしまいましたが、ワーケーションやリモートワークの普及によって地方への注目度は必ず上がります。

その注目をいかに地域活性化につなげていくか、付け焼刃的なアイデアではなく、本質的な議論を重ねた上で応えていってほしいと思います。

おわりに

今回は新型コロナウイルス感染拡大を受け注目され始めている新しい働き方の一つワーケーションについて取り上げ、用語の解説から日本における普及の可能性を地方創生と絡めて考えていきました。

ワーケーションは日本人の仕事観に合わないから広く普及することは難しそうですが、個人が自身の働き方について考えることで地方へ目が行くことも十分考えるでしょう。

地方側は短絡的な政策に終始するのではなく、より本質的な議論を住民も交えながら行っていってほしいと思います。

何はともあれワーケーションはあくまで働き方の一つですので、するかしないかは個人の自由です。

企業や住む場所に関係なく、望む人それぞれが選択していってくれれば良いのではないかと思います。

それでは今回はこの辺で終わりにしましょう。最後までお読み頂きありがとうございます。

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