[コラム]
視察は自分の金で行け!目的意識と計画性を持ち次につなげよ

民間企業や自治体などの組織が新たなプロジェクトを始める際に、その事業計画立案段階で「現地視察」を行うのは一般的です。

予定している投資先が本当に優良企業であるか確かめるため、もしくは着手しようとしている事業の先進事例からアイデアを学ぶため。

このように様々な目的のもと視察が行われていますが、今回の結論を先に申し上げますと、視察は自己資金で行きましょう、ということです。

そう述べる背景を順を追って話していきますので、最後までお読み頂ければと思います。

日本には無駄な視察が多すぎる

まず日本には無駄な視察が多すぎるということを言及しておきましょう。

自身の経験からお話しますと、過去に数件か視察の受け入れをしたことがありました。

視察の内容はツアー事業からまちづくり、地域活性化に関するものなど様々でした。

その中で「この視察は本当に必要だったのか?」「なぜこの人は視察に来たのだろう?」といった疑問が生まれていました。

そう感じる背景には察参加者の意識レベルの低さがありました。わざわざ数時間も、しかも新幹線代もかけて現地に来たのに、質問ひとつしないどころかこちらが聞いても事業について何の考えもない。

終いには「今回の視察をもって事業化を検討したい」と言われることも…そういう時に限ってやたらと人数が多く、この人数でまた検討するのか、と冷ややかな目で見ざるを得ませんでした。

もちろん有意義だと思う視察も中にはありましたが、ほとんどが時間・お金の無駄遣いでした。

また、元博報堂で現在オランダ在住のクリエイティブコンサルタントである吉田和充さんも同じようなことを仰っています。

吉田さんの場合世界各国から視察を受け入れているため、他の国々と比較して日本企業の意識レベルの低さを嘆いておりました。

日本のほとんどの視察が「お勉強」に終始しており、事業に関しても具体的な話が何も出てこないそうです。

詳しくはこちらの記事を読んで頂きたいのですが、視察云々だけでなく日本の将来さえも危ういと感じられる内容となっております。

先のことを何も考えずただ訪問するだけの視察は無駄で、そんな視察が日本には多すぎるのです。

何のための視察なのか

ではこういった無駄な視察はなぜ生まれてしまうのか。その根幹にあるものを考えてみたいと思います。

恐らくそれは「目的意識の欠如」ではないかと考えます。

それぞれの視察に何の目的もない、だから行きあたりばったりの質問しか投げかけられないし、具体的な話を何一つできないのではないでしょうか。

「これから〇〇に着手したいから、この視察では××について理解を深めよう」といったような目的からくる視察の位置づけを明確にすべきだと思います。

そういった目的を持てば、現地へ行ったときも何に着目すべきか、もしくは視察先に「これこれについて見せてもらえないか」といった提案もできます。

さらに視察というものは基本短時間で終わってしまいますから、明確な目的意識があれば事前学習をした上で視察に臨み、より有意義な視察が行えると思います。

例えば地域活性化ひとつ取っても何をアプローチにするのかで視察内容や視察先は変わってきます。

大枠では観光、教育、福祉などが考えられるし、もし観光を選択した場合にもただ外から誘客をしたいだけなのか、それとも地域と連携させた観光地域づくりを目指したいのか、で行うべき視察は変わります。

またその際に視察が「商談」のためなのか、「学習」のためなのかと位置づけを決めておくことも重要です。

特に民間企業の視察の場合、ビジネスのための視察がほとんどだと思いますから、視察先を困らせないためにも事前に決めておきましょう。

ここまで無駄な視察が生まれる要因として目的意識の欠如を挙げましたが、視察前後のプロセスも見落としがちなのでそれについても言及しておきます。

視察をどのように活かすのか

視察前後のプロセスというのは、その視察がどのような流れのもとに行われ、それが今後どのようなものに活かされていくのか、ということです。

たとえどんなに素晴らしい目的意識を持って視察に臨んだとしても、その後で何にも活かされていなければ、これもまた無駄な視察として終わってしまいます。

これは特に「学習」を目的にした視察に多い傾向ではないでしょうか。学んだら終わり、次の日になったら、いや帰りの新幹線で駅に降りた瞬間終わりかもしれません。

先の地域活性化のための観光をひとつ例に取って言えば、視察直後に地域住民との意見交換の場を設けるとか、視察の内容を希望する住民の方に知って頂くことも良いでしょう。

むしろ視察前にそういった場を予定しておくと、視察に対し当事者意識も生まれやすく、より有意義な時間を過ごせるのはないでしょうか。

このように無駄な視察を行わないためには目的意識以外に、視察の活用法も合わせて考えておく必要があります。

視察の後にどんなアクションを取るのか。視察中に考えるのではなく、しっかりと練ってから視察に臨みましょう。

誰が視察へ行くべきか

最後に視察に参加すべき人がどういった方かについても言及しておきましょう。

結論から言うと、プロジェクト責任者ですね。それ以外は正直いてもいなくても変わらないと思っています。せいぜいプレーヤーとして動くことになる人くらいでしょうか。

プロジェクト責任者であれば、目的意識はもちろんのこと、今組織に足りていないことやその後必要なアクションやプロセスも網羅的に考えられていると思います。

また取り巻きを連れて行かないことでコスト削減にもなりますし、視察中彼らを別の業務に回すことも可能です。

誰が最も視察の恩恵を受けるべきかを考えれば答えは自ずと出てきて、プロジェクトの責任者ということになります。

「管理者自ら足を動かしてどうするんだ」と思われた方。それは間違いです。

責任者=管理者ではない場合もありますが、もし視察先で具体的な話が進んだらどうなるでしょうか。意思決定権のある人であればスピーディに事が済みますよね。

またプロジェクト責任者は視察に対しても最も当事者意識を持っていることでしょう。

なぜなら先述の通りプロジェクトについて網羅的に把握しているため、その視察の位置づけも一番に理解しているからです。

この当事者意識というのがとても大切で、視察だけでなくプロジェクトそのものの明暗を分けることになります。

とにかく視察へ行くべきなのはプロジェクト責任者である当事者意識を持った人だけです。そうでない人のためにお金を費やすことは無駄だということです。

視察は自己資金で行くのがベスト

最後に冒頭でも述べた結論についてお話しましょう。

ここまで目的意識を持つこと、そしてその視察をどのように活かすかまで計画的に考えることが重要だと述べました。

とはいえ何よりも大切なのは当事者意識を持つことなのです。その視察を通して自分がどうなりたいか、社会や組織をどうしていきたいのか。

そういった意識を真に持っている人は自分のお金だろうと関係ないのではないかと思います。

逆に考えれば自己資金で視察に行けば自ずと当事者意識も生まれるような気もするのです。

ここで冒頭の結論に帰結します。要はプロジェクトの責任者・当事者本人が自分のお金で視察へ行くのが一番なのです。

ただ実際社長でもない限り自分のお金を使うのは現実的ではなく、会社が負担してくれるはずです。

しかしそれくらいの意気で、当事者意識を持って行く視察が、本当に意味のある視察と呼べるのではないでしょうか。

今回は民間企業や自治体にとって今や一般的となった視察について取り上げ、いかに無駄な視察が多いか、そして意味のある視察を行うためにはどうすればよいかお話していきました。

お金や時間を無駄に費やす視察はもう終わりにして、様々な学びやビジネスの発展に貢献できる視察ができるといいですね。

最後までお読み頂きありがとうございます。