[思考]
元地域おこし協力隊が語る地方創生の現実

今回は日本人なら誰もが知っているトピックを取り上げて、話を進めていきたいと思います。

ニュースや様々なテレビ番組で取り沙汰されている、この地方創生というワード。

聞いたことはあるけれど、実際の内容や実態まで把握しているという方は意外と少ないのではないでしょうか。

地方創生の意味するところについて説明した上で、地域おこし協力隊として地方創生の最前線に立って活動した経験も踏まえて実態などについてもお話できたらと思います。

地方創生とは

国会議事堂前の道路

まず地方創生がどんなことを意味するのかについてお話していきましょう。

地方創生とは、東京一極集中の是正とともに、地方部の人口流出に歯止めをかけ、日本全体の経済活動の底上げを図ることを目的とした政策のことです。

この政策は2014年第2次安倍改造内閣発足後より始まりました。地方創生をローカル・アベノミクスなんて呼ぶこともあるようです。

地方創生において特に重要なのが、地方の人口流出を止めることですね。

日本全体で少子高齢化や人口減少が危ぶまれていますが、地方部のそれは都市部よりもはるかに速いスピードで進んでいます。

人口が減少すると、経済が回らなくなってしまうため、税収も少なくなり、自治体の存続が困難となってしまいます。

その状態が続くと最終的に限界集落というものが生まれ、ますます立ち直れない状況となってしまうのです。

それを食い止めるための一連の政策が地方創生と呼ばれているのです。

開始から5年以上が経過した地方創生ですが、実態はどのようになっているのでしょうか。次で見ていきたいと思います。

地方創生の厳しい現実

ボロボロの廃コテージ

見出しからも推察されるように、上手くいっているとはとても言えない状況でしょう。

もちろん移住政策や新商品開発などで成功している地方もいくつかあります。

クラウドファンディングで莫大な成果を挙げた地域も飛騨界隈にありますしね。

ですが、成功事例はほんの僅かしかなく、ほとんどが失敗に終わってしまっているのです。

地方創生が上手くいかないのには以下の3つの理由があります。

  • 他地域の成功事例を模倣するだけの政策に留まっている
  • いかなる施策を実施するにも財源が国にあるため自治体主導で動けない
  • 国の指標や施策を鵜呑みにするなど自治体が国に依存してしまっている

まず何をするにも成功事例をそっくりそのまま実践するだけという地域があまりにも多すぎるのです。

成功事例の多くは、自治体と地域が試行錯誤の末に生み出したものであり、単純に模倣するだけでは上手くいくはずもありません。

もとより自治体に頭の働く優秀な人材が少ないという人的リソースの問題もありますが、それでも他人のモノマネが横行されすぎているのが実態です。

もちろん人的リソースを確保できないのには、2つめの問題として紹介している、財源が国にあるという部分が大きいでしょう。

民間企業であれば中途採用などで技術や経験を持ち合わせた即戦力人材を雇うことが常ですが、自治体ではそうはいきません。

国のお金を使うにしても色々な制約があるため、財源の乏しい地方自治体ではリソースの確保が困難となるわけです。

そしてこの状況が自治体の国依存を助長してしまっており、国の掲げる施策や指標を鵜呑みにしてしまっているのが現状です。

マスコミの報道では「〇〇で地域おこしに成功」「△△の実施により移住者が倍増」といった成功事例が紹介されることが多いのですが、それはほんの一握りなのです。

実際は都会への流出者の方が多い地域もありますが、そういった報道はあまり明るみになっていないようですね。

現に地域おこし協力隊として思うようにはいかない地方自治の状況や地方創生の負の側面を見てきました。

その度に歯がゆい思いをしてきました。最後にその僕の思いについてお話したいと思います。

元地域おこし協力隊が感じたこと

野菜直売所の前でポーズを取る外国人

僕が地域おこし協力隊として活動を始めたのは2017年ですから、すでに地方創生の政策が始まって3年ほど経っていました。

ここで僕の活動内容を話してもしょうがないので、地方創生の最前線で見たものや感じたことをお話しますね。

協力隊としての活動などより詳しく知りたい方は僕のブログをご覧下さい。

地域おこし協力隊という名前からも分かる通り、自治体の地域活性化施策を間近で見る機会が本当に多かったように思います。

全てが無意味だったとは思っていませんが、前述の通りそのほとんどが効果性も薄く、血税の無駄遣いだと感じることが多かったです…

やはりその原因は、ただ単に成功事例を真似るだけに終始していたからだと思います。

もちろん成功事例から学ぶことは多くあると思います。財源などリソース確保の方法、リスクマネジメントなど事前に知っておくことで、計画や実行が格段に速くなりますからね。

ただ僕が見てきたものは成功事例から学ぶことはおろか、その先進事例の隅から隅まで真似することに頓着していたのです。

正直「この地域を良くしたい」という想いの部分を疑ってしまうこともありました。

単に「お金が余っているしどうせなら使っておこうか」「でも面倒なことはしたくないから模倣で済ませよう」といったようなことしか頭にない気もしました。

つまり、そもそも地方側が地方創生について本当に取り組んでいないのでは、ということなのです。

統計データから地方の衰退が危ないから何かしなければいけないという国の思惑自体が的はずれなのかもしれません。

地方に住む人や自治体はそこまで地方創生に輝きを見出していないのかもしれません。

とは言うものの、危機感を感じて地方で活動している人もいることは事実です。

そのため重要なのは自治体や国、財源がどうのこうのではなく、死ぬ気で地方創生に取り組む人や事業者を支援できる形になればよいのではないでしょうか。

能力や経験はもちろん重要ですが、地方創生はお金で変えられない部分も多くあるので、最終的にはハートが勝負になってくると思います。

各自治体や民間企業が先進事例から学び、地域に合わせたオリジナルな施策を打ち地方創生を推し進めていくためには国の主導から、より柔軟なバックアップ体制が取られることが重要でしょう。

おわりに

白川郷の稲刈りの様子

今回は知らない人はいないであろう地方創生というワードにフォーカスしてお話していきました。いかがだったでしょうか。

最後の感じたことはだいぶ熱がこもってしまいましたが、折角の機会なのでつらつらと書かせて頂きました。

協力隊を卒業しても引き続きその地域に残っていますし、地方創生や地域活性化施策には関わっていきたいと思っています。

それはもちろん国や自治体に任せていられないという気持ちからくるものもあるでしょう。

地方創生という概念は大変素晴らしいものではなりますが、方方で空回りしてしまっているのが現状です。

その現状を打破するためにはより柔軟な支援体制を整えることが重要でしょう。

そして熱いハートをもっている方が推し進めていけるようになれば、地方創生、地方の未来は明るいものになるのではないでしょうか。