[思考]
通過型観光から滞在型観光へシフト!でも安易な農泊には要注意?

これまでにオーバーツーリズムやレスポンシブルツーリズムなど、あらゆる観光の形についてご紹介してきましたが、今回は通過型観光についてご説明しようと思います。

通過型観光それ自体は従来型の観光スタイルとして定義づけられており、これからの時代においては取って代わられる存在です。

ですが観光事業者や地域が今後の観光のあり方を探る上で知っておく必要があるのでぜひ読んでみて下さいね。

通過型観光とは

高速のパーキングに停車中のバスと大型トラック

それではまず通過型観光の意味についてです。

通過型観光というのは、ある地域に留まることなく観光名所をスポットで巡るような観光スタイルです。

分かりやすい例を挙げると、よく新聞の広告欄にある観光バスツアー。

日帰りで旬の味覚を満喫!と銘打って、大型バスに何十人も乗ってフルーツ狩りの施設や物産店を回るようなツアーです。

参加者としてはただバスに乗っていればよく、価格もリーズナブルで手軽に旅行気分を味わえます。

もちろんバスツアーだけに留まらずマイカーや鉄道などでの個人旅行でも、地点を巡るような観光スタイルは通過型観光に分類されます。

時代の変遷とともに観光スタイルは徐々に多様化しておりますが、未だにこの従来型の通過型観光は多いです。

なにせ人を店に送り込むことだけに執着しているような、通過型観光を推し進めている地域もあるわけですから当然ですよね。

では、この通過型観光がなぜ従来型と言われるように、脱却するべき観光スタイルとして認識されるようになってきたのかについて、次に説明したいと思います。

通過型観光の弊害

休日の商店街

たくさんの人が施設に訪れるかもしれない可能性を十分に持った通過型観光ですが、どういう点で良くないのでしょうか。

通過型観光のもたらす弊害について下記に箇条書きしております。

  • 地域内での消費機会が少なく経済効果が薄くなりがち(または一極集中)
  • 観光スポットにしか止まらないため、住⺠との交流機会がない
  • ⾃然の豊かさや文化の奥深さなど、真の地域の魅力が伝わりにくい

一見地域にお金が落ちやすいと思われがちな通過型観光ですが、実際はそうではないことの方が多いです。

先の日帰りバスツアーなどで巡るスポットは基本的に大型の商業施設となるので、利益はその店舗にしか落ちず地域への経済波及効果は薄いです。

またそういった商業施設の運営元は地域事業者でないこともあるため、そもそもお金が別の場所へ落ちているかもしれません。

また観光スポットにしか訪れないと、その地域の魅力を真に理解することは難しいでしょう。

その地域での暮らしぶりや豊かな自然に実際に触れることで、その地域の魅力を理解できるわけですからね。

それには地域住民との交流は不可欠と言ってよいでしょう。

通過型観光は、地域への経済効果や地域の魅力発見という点で劣っているのです。

ではこの従来型の通過型観光はどういう方向にシフトしていくべきなのでしょうか。次に見ていきたいと思います。

通過型観光から滞在型観光へ

ビニールハウスと民家

滞在型観光という言葉を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

滞在型観光とは、ある一地域に滞在しながら、静養や体験型を始めとしたレジャーを楽しむ観光スタイルのことです。

この滞在型観光が通過型観光の対極の存在と捉えてよいでしょう。

地方や農村などで観光開発に取り組んでいる地域はまずこの滞在型観光を目指すべきです。

間違っても地域への経済効果が薄い従来のような通過型観光を推し進めてはいけません。

というのも外国人旅行者を中心に、この滞在型観光を好む旅行者が増えているというトレンドもあります。

日本人でも単純に名所を回るだけでなく、若者を中心に体験アクティビティなどを織り交ぜた観光スタイルが主流になりつつあります。

宿泊も食事も体験も地域内で完結できる滞在型観光は地域への経済効果も望めますし、旅行者の満足度も高いため、持続可能な観光地域づくりができますよね。

滞在型観光の具体的な事例等については今後扱っていくものとして、最後にこの観光スタイルについての注意点について話しておきたいと思います。

安易な農泊推進には要注意

滞在型観光に取り組む地域が各地で増えているのはとても良いことなのですが、一点注意すべきことがあります。それは「農泊」についてです。

農泊というのはいわゆる農家民宿などでの農家体験と宿泊を組み合わせたもののほか、農村地域での宿泊と体験をセットにした滞在型観光のことを示します。

この農泊は農林水産省がバックとなって、全国様々な地域で導入が進められています。

地域経済への波及効果も望めるし、地元住民との交流も図れるし、一見すごく良い観光のあり方に思えますが、安易な農泊推進には注意すべきです。

というのも、実際の予約受付といったお客様とのやり取りも含めて全て農家の方が行う必要があり、農家への負担が非常に重くなってしまうのです。

農家の中には比較的若くITリテラシーの高い方もいらっしゃるでしょうが、多くの農家さんには予約管理などの業務はハードルが高いことです。

もちろん農家として野菜やお米を育てる必要もありますので、安易に農家民宿として受け入れを始めるのは非常に危険です。

農家民宿を取り入れた農泊については、農家としての本業の機能と民宿としての観光の機能の両立が困難なため、オススメはしない、というか反対の立場を取っています。

滞在型観光には受け入れ側、旅行者の双方にとってもメリットの大きい点が多くありますが、農家民宿をはじめとする農泊については注意が必要です。

おわりに

田舎道沿いのポピー

いかがだったでしょうか。今回は通過型観光の意味や弊害について扱った上で、現在ニーズが高まっている滞在型観光についてお話していきました。

過疎化の進んでいる地方では特に、通過型観光の脱却と滞在型観光の導入を同時に進めていくべきでしょう。

ただ、いくら補助金が出るから、政府が推進しているからと言って、安易に農泊などに手を出すことは危険です。

農家やその他の事業者と一度あつれきが生まれてしまうと、修復不可能となり、その後の観光地経営が非常に難しくなってしまいます。

方方で色々な情報を得ながら、確実に観光面での活性化を図って頂きたいと思います。