[思考]
観光の負のスパイラル – オーバーツーリズムとは?

先日レスポンシブルツーリズムに関する記事を書かせて頂きましたが、今回はオーバーツーリズムに関してお話したいと思います。

オーバーツーリズムとは

見開きの洋書

英語を少しでも学んだ方ならこのオーバーツーリズムが何を意味するのか分かるかと思います。

“over”は「〜を越えて」という意味ですから、直訳すると「行き過ぎた観光」という意味になります。

何が行き過ぎているかと言うと、観光客数と解釈されることが一般的です。

何をもって観光客数が行き過ぎているか計る指標は様々ですが、地域の宿泊キャパシティが用いられることが多く、単純に所感でオーバーツーリズムと判断されることもあります。

ここまでの説明でもオーバーツーリズムというものがあまり良いものではないことが分かったかと思います。

ではオーバーツーリズムの具体的な弊害はどういったものがあるのでしょうか。

オーバーツーリズムがもたらす弊害

回収されないゴミ箱

オーバーツーリズムによる弊害としてまず想起されるのは次のようなものです。

  • ゴミ増加や騒音により地域内の生活環境が悪化する
  • サービス対応が間に合わなくなり観光客からの不満が増大する
  • マナーの良い観光客の来訪を阻害する

挙げればキリがないのでこの辺にしておきますが、どれも観光客側、地域側双方に悪影響が及ぶことがわかります。

またオーバーツーリズムの特徴としては、一度ある問題が噴出すると矢継ぎ早に別の問題を生み出していきます。

例えば観光客増加により、地域側のサービスの質の低下や環境汚染が問題になってしまうと、観光客の中で評判が悪くなり、新規・リピーターともに観光客が減少してしまうのです。

さらに悪いことには、本来来てくれるはずだったマナーの良い客まで取り逃がしてしまうことになります。

オーバーツーリズムはまさに観光の負のスパイラルであり、すでに上で挙げたような問題が散見される地域は今すぐ打開策を打つべきですし、そうでない地域でもオーバーツーリズム対策が必要となってきます。

では、具体的にどういった対策が考えられるのか、本記事で一つだけ扱って終えたいと思います。

オーバーツーリズム脱却の成功例

白川郷冬のライトアップ

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在白川郷の冬の一大イベントであるライトアップは完全予約制となっております。

開催から30年以上の歴史を持っておりますが、完全予約制になったのは2019年からでした。

このライトアップイベントを予約制にしたことがオーバーツーリズム対策だったのです。

それまでのライトアップイベントは住民600人弱の地域に8,000人もの観光客が押し寄せ、村内混雑、交通渋滞、違法路上駐車、ゴミ・トイレ問題、住民とのトラブル、景観破壊など、多くの問題を抱えていました。

ただ完全予約制に転換した2019年のライトアップイベントは下記のように、劇的に改善されたそうです。

  • 日帰り駐車場の待ち時間1〜2時間が10分程度に短縮
  • 来場者数8,000人が約半分となりゆったりと観賞が楽しめようになった
  • それまで大問題であった違法路上駐車も片手で数える程度に減少
  • 観光客と村民の喧嘩など大きなトラブルがなくなった

このように白川郷のライトアップイベントは完全予約制を取り入れることにより、オーバーツーリズム脱却に成功したと言えます。

おわりに

京都の木漏れ日の中を歩く観光客

世界ではマドリード、日本では京都など、世界中でオーバーツーリズム問題が噴出しています。

未然に防ぐことが一番ですが、問題が起こってからも柔軟に対応することで回避してもらいたいところですね。

観光客側、地域側双方が調和を取りながら素敵な旅行体験が出来ることを切に願って、本記事を終えたいと思います。