観光はサービス業であり、サービス提供者は地元の人になります。その主役が疲弊してしまっては、そう長続きはしません。
そこで住民のニーズをうまく汲み取りながら、観光戦略を進めていくこと重要な局面を迎えています。
ふるさと納税や地域おこし協力隊など、地域活性化や地方創生に関する取り組みが、日本全体で今やブームとなっているように感じます。
何を隠そう、この記事を書いている僕自身も元地域おこし協力隊ですしね。
ただ、地域活性化に取り組むも、なかなか上手くいかないのが現実で、様々な地域が苦戦していることと思います。
そんな地域おこしや地域活性化に大変有用なローカルファーストという考え方があるのはご存知でしょうか?
今回はそのローカルファーストについてかんたんに説明してきたいと思います。
ローカルファーストとは

昨今、都民ファーストやアメリカンファーストなど様々な〇〇ファーストが流行っています。ただ、このローカルファーストはそれらとは少し違う意味になります。
ローカルファーストとは、地域や環境のことを考慮しながら日々のライフスタイルを構築することです。
地域活性化に取り組む人なら誰もが考えるべきことなのですが、なかなかそこまで考えられていないのが現状です。
住民や地域のメリットを最優先にせず、主催者側や自治体側の独りよがりの施策で終わってしまうことが思いのほか多いのです。
ではローカルファーストに基づいた地域活性化活動にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきたいと思います。
ローカルファーストの実践例

神奈川県茅ヶ崎市にある商店街で行われた空き店舗活用プロジェクトにて、このローカルファーストが実践されていました。
商店街再生は地域活性化においてあるあるな活動ですが、地元住民や既存店舗の協力を得るのが難しく、それが原因で失敗に終わることが多いのですね。
そのため主催者には「地域住民の求めるものを汲み取り、そこにアプローチできるような事業を展開し、結果的に地域の個性を出す」という思惑があったそうです。
そこでプロジェクト開始期から住民を集めディスカッションを開くなど、積極的に地域のニーズを掴むことに専念しました。
結果的にハンドメイドやリサイクル商品を販売する店舗を運営することに決まりました。
さらに人と人とをつなぐことにより商店街の協力も得られ、他では売られていない手作りの商品が好評となったほか、不用品として持ち込まれた商品が高値で売れることもあったそうです。
ハンドメイド商品は地元の主婦や高齢者などが担当し、リサイクル品が次々に入荷することで、商品が毎日変わることも利用者の関心を高めました。
店舗には毎日100人もの来客があり、最終的に黒字でプロジェクトを終えました。
客だけでなく、ハンドメイドの担い手は35人、リサイクルの登録者は200人にまで増えるなど、商店街の活性化に大きく貢献しました。
地方自治とローカルファースト

この茅ヶ崎市の事例からも分かる通り、ローカルファーストには地方自治と密接な関わりがあります。
住民のニーズを上手く汲み取りながら、地元商店の協力も得たことがプロジェクトの大きな成功要因だったと言えます。
また、地域住民が地元の商店街を利用することには大きなメリットがあります。自治体に税収が入ることですね。
それはすなわち住民が地域に貢献することそのもであり、その税収は福祉や教育に役立てられ、住民自身の暮らしをより良いものにします。
さらに、商店街が活性化したり、地元の商品に人気が出たりすると、それだけで地域の個性が生まれ、外部から見ても興味深い地域となり、訪問者も増えるかもしれません。
ローカルファーストに基づいて地域活性化に取り組むことで、その施策の成功率を高めるだけでなく、地方自治にも非常に良いインパクトを与えられます。
そしてそれは住民の暮らしそのものを形づくっていく大変有意義なものとなるのです。
おわりに

今回は地域活性化や地域おこしに関して重要な考え方であるローカルファーストについて扱っていきました。
地域活性化って単純に見えて、すごく奥が深いもので、成功を収めるのは本当に難しいですよね。僕も今までに色々な失敗例を見てきたし、経験もしてきました。
個人的にローカルファーストという言葉は知りませんでしたが、地域おこし協力隊の任期中、この考え方に基づいて活動していたように思います。もちろん今もそうです。
地域住民のニーズがどんなもので、どういった施策が最適なのか、またどのようにして各々の地域貢献やライフスタイルの構築につなげていくか、どれも大切ですよね。
地域活性化に取り組まれている方、このローカルファーストを念頭に置きながら活動に尽力して頂ければと思います。