ミュージシャン:DAG FORCE

今回のインタビューでは、ブルースラッパーとして日本で活躍した後、アメリカ・ニューヨークを拠点に音楽活動だけでなく幅広い分野で活動されているDAG FORCEさんをお迎えしてアーティストとしての心構えをお伺いしたいと思います。

聞き手:子グマ

-いまはニューヨークにお住まいですよね。なぜ日本から離れたんですか?

DAG FORCEさん(以下、DAG): きっかけは、2015年に息子を授かったことです。普通家庭を持てば将来を見据え、どこかに就職などし足場を固めるという選択をするものだと思うのですが、当時の自分はより大きな世界を見てみたい、このまま世界を知らないまま小さく固まってしまいたくはない、という願望がありました。それまでの自分は、二十歳から始めた音楽制作と全国各地でのライブ活動が生業になっていましたが生活や活動自体に変化を求めていました。かたやパートナーは国内外のファッションシーンでバリバリ働く女性で、当時NYで1年契約の仕事がありました。今では本当に無謀だと思いますが、ほとんど勢いで突如NYへと移住しました。

-そういった事情があったんですね。今活動していることを聞かせてもらえますか?

DAG:DAG FORCEとしては、自分の作品の制作の他
「ラップ日記」= 今の感情や感覚をフレッシュに発信
「ライティング」= TABI LABOでのエッセイコーナーなどをやっています。
「客演・プロデュース」= 他のアーティストの楽曲への客演や企業や個人への楽曲のプロデュースなんかもやっています。それと並行して、企業やブランドの映像プロデュースなどを行なっています。

-なるほど、ではそれぞれ具体に教えてもらえますか。ラップ日記は、今の感情や感覚をフレッシュに発信とのことですが、例えばどのようなことですか?

DAG:皆さんが音楽を聴くときには、CDであったり、iTunesなどのデジタル配信、Apple MusicやAWAなどの月額制サービスを利用されていると思いますが、そこにあるのは「完成品」としての音楽です。

アーティストが音楽を生み出してから、完成品に至るまでは、多くのプロセスと人の手、つまり結構な「時間とお金」がかかってるのですが、それらを省いて、なるべくクイックに鮮度と頻度を上げることで、フレッシュでダイナミックな生の音楽を、ファンの人と共有することが目的です。

-確かに言われてみればそうですね、完成までのプロセスが多そうですよね。どのように日記として残しているのですか?

DAG:まず、その日聴いた音楽をサンプリングしてiPhoneのアプリでバックトラックを作成し、それを聴きながら近況についてラップを書き、iphone内のアプリで録音し、ビジュアル素材をつけて、SNSやYouTubeでアップするというものです。

釣り船に例えて言えば、
1. 魚を釣って、
2. レシピと味付けを考え、
3. その場で料理し、
4. メニューを作成して、
5. Uber Eatsに投稿する、
という全てのプロセスを船上で出来る範囲で行なっていく感覚ですかね。

-面白いですね。あくまでも今あるプラットフォームやツールを活用していくのですね。ラップ日記を始めたきっかけはなんですか?

DAG:コロナ禍の影響で日本帰国ライブツアーが中止になったことですね。
年内のライブ活動の目処が立たなくなり、今後自分の持ち味であるLIVE活動を積極的に行うことは難しいだろうと考えました。
もちろんオンラインライブという方法もありますが、現在自分が住んでいるNYの環境だと十分なLIVE配信の稼働が難しい状況です。
そこで、自分の新たな持ち味として、クイックにフレッシュな感情を表現する「RAP日記」に取り組み始めました。

-興味が湧いてきました。後で聞いてみます!ライティングは、TABI LABOでのエッセイコーナーの一部をご担当されているのですかね?

DAG:そうですね。TABI LABOのWEB媒体で、エッセイのようなものを書かせてもらっています。
2019年末くらいから始まり、月3-4本くらいのペースで「読者がポジティブになれるメッセージ」を発信しています。もともとライターではないのですが、なかなか好評いただいてるので、気になる方はぜひ読んでみてください。

-DAGさん渾身のこれだけは読んでよ!という記事をぜひ教えてください。

DAG:俺が「めちゃくちゃな英語でも自信がある」理由―DAG FORCEのナイスタイム

-ありがとうございます。客演・プロデュースというのがイマイチわかりにくいのですが、具体的に教えてもらえますか?フィーチャリングとかですかね?

DAG:客演というのは、フィーチャリングのことです。他のアーティストから依頼があった際に、その人のために自分のラップや歌を書き、録音し、納品します。
共に一つの作品をつくり上げるため、楽曲の詳細に併せて、それぞれの現在の状況や、曲に込める想いや願いなどを話し合い、楽曲の方向性を決めて、そこに合わせて一緒に創り上げていきます。

-そうなんですね、企業や地域ブランディングと相性が良さそうですね。

DAG:まさに現在、企業ブランディングの一部として、オリジナルPRソングの作成をしています。
企業やサービスが抱える課題や伝えたい対象やメッセージ性などをヒアリングして、バックトラックの制作からオリジナルの楽曲制作まで行なっています。

企業紹介やカルチャーを紹介するドキュメンタリータッチの映像のプロデュースやディレクションも行なっていますし、過去にラジオ番組を主催プロデュースしたり、イベントの開催や、覆面でゴミ拾いをする活動などもやっていました。

-業界の人間ではないので横文字が多くて慣れるのに大変です。
さてDAGさんのここが売りだよ、というようなポイントはありますか?

DAG:制作中に依頼者が参加できたり、クリエイティブな発想を養ったり楽しめるようなやりとりを心がけています。
依頼するだけではなく、共に作ること、クリエイティブに関わることも成果として重要で、納品後の成果物を依頼者自身のメッセージとして発信できるような流れを作ることが大切だと考えています。

私の得意技は、自分や誰かの「想いを伝える」ことです。
その為の手法はなんであってもいいのかな、と思っています。手法よりも、大切なのは「想い」だと思います。ある意味コーチングに似ているかもしれません。

-確かにそれは大切ですよね、作って終わり、作りっぱなしという事例は散見されますよね。

DAG:依頼側が自分ごととして捉える、ということが持続可能に繋がると思いますね。PRなどにお金を掛けるよりも内部を見つめ直すことに時間とお金を掛けることがより大切な時代になってきましたね。

-仕事で大事にしているポリシーとか理念はありますか?

DAG:誠実であること、です。
先ほど述べたように、自分に出来ることが沢山あるようで、実は多くの人の手を借りて成り立っています。
誠実な気持ちを持って、関係者と協業できるように心がけています。

また、クライアントや相手が予想していなかったことでも、作品やそのプロジェクトが良くなるのであれば、意見が異なることでも率直に伝えるなど、誠意を持った行動や対応を意識しています。

-日本人は議論が苦手で批判と捉えられてしまう局面も多くはないですか?どのように折り合いをつけていますか?

DAG:たしかに、自分の考えをハッキリ伝えることに抵抗がある人は多いと感じます。ただ「意見が無い」わけではなくて、自分の中にある様々な想いを一括りの言葉で表すことが難しいと感じてるのかな、と。

自分自身、人と「想い」について話すときは、非常に回りくどく話をします(笑)。
抽象的な中から、具体的な気持ちを汲み取ることが大事だと思っています。

だから、批判的な言い方はしないで、相手の話す言葉から熱意やこだわりを抽出し、伝わりやすそうな言葉を使って伝え直していくうちに、次第と相手の考えや言葉がまとまっていくようにしています。

自らの口から発した言葉が閃きに代わり、自分自身の創造的なワクワクを持ったクリエイションの種が生まれるので、それを具現化していくプランを提案したりして、カタチにしていきます。

音楽も映像もライブも、そこには観客がいて、またその反対側にはクリエイターがいるわけですが自分はしばしば、その真ん中に立って、その作品やプロジェクトが持つ目的やメッセージがしっかりと伝わるにはどうしたらいいか? 全体がうまくいくには、どうすべきか、を考えるようにしています。

-コロナウィルスの影響はありますか?

DAG:もっとも大きな影響として、ライブ活動ができないことですかね。
ニューヨークで参加していたジャムセッションなども開催目処が立っていませんし、帰国ツアーも再開の目処は立っていません。

自分の一番の持ち味である「LIVE」が当分の間出来ないというのは、自分にとって大きな困難であり、新しい挑戦の必要性を感じています。

-LIVEは確かに今の状況だと難しいですよね。新しい挑戦ということで今後の活動を聞かせてください。

DAG:先ほど紹介した「RAP日記」で、LIVE感のある楽曲発信を行なっていくことで新たな強みを作っていきたいと考えています。
サウンドトラック・歌詞・ビジュアルを作ってクイックに発信する作業は、まぁまぁしんどいですよ。
しかし、コロナ禍以降、楽曲リリースラッシュが続く現状の中で、皆と同じことをやっていては埋もれてしまいます。
自分にしかできないものを生み出し磨いていくには、量・質のクオリティを同時に向上させることが重要です。
以前プロデュースさせてもらったドキュメンタリーで、陶芸家の方が授けてくれた考え方
「一つの器を作るのに最初は1時間かかったものが、5分でできるようになれば生産性も質も同時に向上する。そうして技術を磨いていくことで研鑽されていく」という考え方に沿って、自分の特性を高めていきたいと思います。

-生産性とか効率となると質ばかりに目が向きがちですが、量も大切なんですね。今日はありがとうございました。

プロフィール
Yoichiro

飛騨高山出身のミュージシャン DAG FORCE として’04年頃から活動。’15年からNY在住。アーティスト業の傍らライティング、サウンドデザイン、映像制作など様々な表現手段を用いた活動は多岐に渡る。 わが地元「飛騨地域」を盛り上げようと日々奮闘している合掌ホールディングス CMOに刺激を受け、様々な人の「想いを伝える」役割を担っている。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次