[インタビュー]
BeeCruise:穐本

今回のインタビューでは、国際物流大手からベンチャー大手に転職した穐本(あきもと)さんをお迎えして新規事業開発の心構えや難しさをお伺いしたいと思います。

聞き手:子グマ

新規事業をスケールさせるところまでもっていきたい

-いま穐本さんはベンチャー大手で新規事業開発という業務に従事していると伺っています。どんな事業ですか?

穐本さん(以下、穐本): これまで物流関連での事業開発を中心に携わっておりまして、グループ内でも輸出入に関わる事業を行っていることもあり、その周辺の課題に対するサービス開発ですね。直近ではここ数年の社会的課題でもあるライストワンマイル事業の実証検証等も行ったりもしております。

-事業化に向けて日々どのようなことをしてますか?

穐本:新規事業の種となる課題やニーズの調査・検証を実施し、そこから実際にビジネスへと繋げていく活動を行っております。そして多くはトライアルベースとして事業化が決まった場合には実際に自らが事業責任者として開発から運営まで携わり、最速でPMFを目指して進めていくのが私の役割です。

-PMFとはなんですか?

穐本:すみません、専門用語でしたね。
Product Market Fit(プロダクト・マーケット・フィット)の略でスタートアップ企業ではよく使われます。「顧客を満足させる最適なプロダクトを最適な市場に提供している状態」のことです。
要は誰をどんなプロダクト/サービスでhappyにさせるか?ってことですね。

-なるほど、勉強になります。ところで新規事業開発って格好よく聞こえますが、実際は大変なことも多いのではないですか?

穐本:そうですね、実は私自身、実行したいずれの新規事業をスケールしたと言えるところまで持って行った実績が無いのです。
現在、所属会社の新規事業開発部という中で事業開発を行っている中では、勿論私の担当以外で動いている案件もありますので、それぞれがいかに短い期間で企画、開発、PMFを経て次のステップへ進むかという上では競争でもあります。
その点で言いますと、少なくとも短い期間でスケールしなくても、その先の成功への可能性や兆しのKPIを掴むことが重要となっておりますが、残念ながらその域まで辿り着けていません。その要因としてはズバリその事業にニーズが無かった、ということに尽きます。

上手くいかなくても原因や理由を分析することで次が見えてくる

-新規事業は”千三つの世界”とも言いますもんね。1,000個中3つ当たればいいほう。0.3%の確率。私なんかとてもじゃないけど、尻込みしてしまいます。
そんな中でもどのようことを意識して日々取り組んでいますか?

穐本:新規事業開発を諦めずに続けていくことですね。
一つ一つの事業をスケールさせていく為の手法やビジネスモデルの構築は、当然ながらより細かい部分に宿ると思いますが、少し楽観的、俯瞰的に言いますと、新しいサービス開発に向き合うことを諦めさえしなければ、その次の事業をスケールさせるチャンスは出てきますし、学習が蓄積していきます。

-学習の連続ということですね

穐本:そうなんです。サービス開発をやめてしまった途端、その先のチャンスも無くなり、これまで芽が出なかった事業もそこで失敗だったということになってしまいます。
前回乗り越えられなかった原因・理由を徹底的に洗い出した上で、次の一歩を踏み出すことが大事なのではないでしょうか。

最小限のリソースでできる手段を見つけ出す

-仕事で大事にしているポリシーとか理念ってありますか?

穐本:2つあります。
1つ目は「先ず最小限のリソースで出来る手段はなにか?」ということを常に考えます。
現在、ゼロイチの新規事業開発だけでなく、元々得意分野である物流周りの課題等でグループ企業内外から「〜ということは出来ませんか?」というような声をかけてもらうケースもあるのですが、その場合先ずは「こうなら出来ます」と課題や要求の大きさに関わらず、先ずは最小限のコストと人員の中で出来る事を進めます。
新規事業も既存事業の発展も何らかの課題解決が根底にあるかと思いますので、出来ない、という判断を持ってくるよりもそこへあらゆる物や考えを継ぎ接ぎしてでも前進して取り組んでいくことに楽しみを感じます。

-できない理由から入るのではなく、できる理由を考えていくということですね!

穐本:2つ目は、「情熱と冷静の間」を意識することです。
新規事業に対しては特になのですが、自分がこういう世界を見たい、またはこういう課題解決策がここにある、ということで発起して事業を立案し、そして実行へと進めていく上では先ずは情熱がなければ到底続けられません。
ですので、新規事業に携わる人間にはこの確固たる情熱が大事だと考えております。ただ一方で、その情熱だけが先行してしまうと、その課題やサービスの本質から逸れそうになったときに見たくない、聞きたくない情報や現実からも逃れ、正しい判断や意見の受け入れが出来なくなることも大いにあります。

-あっ、それ聞いたことあります。都合の良い情報だけを集めてしまう確証バイアス(*注)ってやつですよね?

穐本:そうです。
そのサービスや当初の考えに固執しない冷静さ・客観的視点もとても重要と考えておりますので、そういう意味で「情熱と冷静の間」という一見ごく当たり前のようなものではありますが、日々仕事をする上で常に意識しております。
(言い方は一世を風靡した映画に一部インスパイアされていますが。笑)

-情熱と冷静の間、ですね。意識してみます!では最後に読者の皆さんに一言お願いします。

穐本:この先、様々な企業でも新規事業への取り組みを加速していくと思います。ただ子グマさんのお言葉にもありましたが、新規事業開発は聞こえとは半面、泥臭く地道な作業が大半を占めます。よって、取り組まれている方々には芽が出るまで色々とプレッシャーもあるかと思いますが、自分達が今の会社の新しい事業柱を創る!という気概をもってぜひ前向きに取り組んでもらえたらと思います。また、弊社も引き続きあらゆる企業様とも共創の機会を模索しておりますので、もしご興味をお持ちいただけましたら、いつでもお声かけをお待ちしております。

*確証バイアス:
自分が信じていることを裏付ける情報だけを探し、自らに不都合な情報を無視する傾向のことを表す心理学の用語

穐本恭介さんプロフィール

BeeCruise株式会社 社長室 新規事業開発担当
1981年千葉県生まれ。
明治学院大学経済学部卒業後2004年に株式会社日新へ入社。
2016年にBEENOS株式会社入社。
翌2017年10月にBeeCruise株式会社設立と共に同社へ出向。

長年、国際一貫輸送に携わってきた経験より国内外の物流関連での課題解決をテーマにしながら、自社グループのネットワークとシステム開発力を駆使して新規事業開発に取り組む。

https://beenos.com/