[インタビュー]エンチャント:中内景さん

訪れた先々の魅力ある場所や人やモノとともに商いをつくる株式会社エンチャント。

今回は代表の中内さんにお話をうかがいました。

中内景 

株式会社エンチャント代表取締役CEO1983年生まれ。転勤族の家庭のもと、高知-東京-アメリカ- 広島と転々とし学生時代は京都で過ごす。人力車のバイト経験も。2006年から伊藤忠商事に勤務し、エネルギー部門にて主に石油トレードに従事。社会人10年目の節目に独立し、地域活性をテーマにしたRe-Land株式会社を設立。現在ウェブツールを活用した各種サービスやシェフイベント開催、またカフェ業態との協業を通じた販売戦略等で地域の特に「食」を軸としたアプローチを行っている。2017年よりエンチャントに社名を変更

株式会社エンチャントホームページ

聞き手:あかり
都会生まれ都会育ちの大学2年生。まだ地域や地方創生という言葉に対し漠然としたイメージがあるのみなので、インタビューを通してこの言葉の解像度を上げ、自分が将来やりたいことを考えるきっかけにしたいと思っています。

縁の連鎖の面白さ

-エンチャントさんでは、どのようなサービスを提供されているのですか。

中内景さん(以下中内):地域に関わる事業者様のマーケティング支援を行っています。

クリエーターやウェブマーケターによるデジタルな面と、営業や戦略的コンサルによるアナログな面の両方から課題解決をしてきました。

宿泊業を営む上場企業と温泉街活性化のプロジェクトを担っていたり、行政案件にも携わって参りました。他方で一つのレストランや農家さんとの取組もあり、大小さまざまな事業者様とお仕事をさせていただいています。

コミュニケーションや信頼関係を大切にし、私たちの持つ知識や技術を提供し自らアクションを起こして事業者様に寄り添って課題解決に取り組んでいます。

-自ら動くコンサルというイメージですね。

これまでの活動で特に印象に残っているエピソードを教えてください。

中内:以前、オーストラリアでナンバーワンをとったミシュランのシェフを招いて京都のゲストハウスで関西近辺の生産者や酒造、ワイナリー、また窯元の方々にもご協力をいただき、一日だけの食イベントを催しました。

これはまさに、人の縁の面白さを実感できるプロジェクトでしたね。

このとき招いたシェフが、日本でイベントをやりたいと企画を募集していると人伝いに聞き、実現したのがこのプロジェクトです。これを乗り越えたら今後色々できるのではと、没頭していたのを覚えています。実はこのきっかけを作ってくれた方と、最近また大きなプロジェクトを立ち上げることになり、「あの仕事を成し遂げたんだから何でもできる!」と結束を強めています。

普通に仕事をしているだけでは絶対に出会わないだろう人との縁で商売をつくる楽しさをかみしめています。

(シェフがイベントに向けて京都の農家に訪れたときの様子)

目の前の人を喜ばせたい

-そもそもなぜ地域に注目したのですか。

中内:まず、私は地方と地域という言葉を明確に分けて使っています。

地方は○○地方など広いエリアや漠然と田舎ををイメージさせる言葉なのに対し、地域は限られたコミュニティや小さな事業体がイメージされます。

地方創生がどうだとか地方の課題が、というより、地域課題とか地域事業者のお悩みと言った方が解決できそうなきがしませんか?地方から地域に、そして人にと絞っていくと、課題の根っこや情熱のようなものに触れることができるんです。

私は人・物・場所があるとすれば、一番好きなのは人です。そういう魅力のある人に出会うためにも、地域という絞ったエリアや事業体にフォーカスしているというのはあるかもしれません。

(徳島食材の試食販売イベントのプロジェクトチーム)

-コンセプトにある、今の時代を生きる旅商人とは具体的にどのような人を指しているのですか。

中内:引き出しの多い人間です。あとはバランス能力に長けていること。

価値の発信の仕方、やっていることに付加価値を付けていくことを、様々なアプローチができる今の時代ならではの方法を納得してもらいながら進めていくことが大事です。

ただの売り買いだけでない、届け方や魅せ方、コミュニケーションの取り方など付加価値の付け方はいろいろあるんです。

-例えばこの人、というように思い当たる人やロールモデルは誰かいますか。

中内:時代を切り開いていった人たち、すなわちその時代における先進的なことをしていた人たちが当てはまります。

私の出身でもある伊藤忠商事を創業した近江商人の伊藤忠兵衛や、高知のスター坂本龍馬などが代表格なんですが、ここでは中岡慎太郎とさせてください。

中岡慎太郎は坂本龍馬の親友として高知では有名なんですが、実は柚子を高知の特産品にした人でもあるのです。地元の北川村という場所で地域の方々が潤うためにゆずの生産を根付かせました。彼の成果にある石碑には、「献身」という言葉が刻まれています。地元も大切にし、龍馬と日本を変えることでも献身的に働いたこと。まさに自分の目指す人物像です。

私も人との対話を通して自分の持つ能力でその人のためにできることを見つけていく、それによって関わる人を笑顔にしていきたいという点で目指すべき像だと思っています。

(徳島食材を美味しくPRするために料理家さんと打ち合わせをしている様子)

-今後挑戦したいことはありますか。

中内:世界に対しての発信と、BtoCの事業に取り組んでいきたいと思っています。

これまでBtoBのビジネスをやってきましたが、その先のユーザーにも直接つながっていくことがしたいです。縁がつながっていく商いを体現していきたいと考えています。

人の縁を大事にした先に

-読者に伝えたいことはありますか。

中内:地方とか地域とかにあまりとらわれてほしくないと強く思います。

私の場合は、たまたま自分のルーツや出会った人が大切な人間だったからそういうところと何かやろうとやってきましたが、あまり地方、地域という言葉にとらわれすぎるのも良いことではありません。

別に自分や出会った人の出身が都会だから、地方だから、こう行動しなければならないということは無いのです。

彼ら彼女らと将来どんなかたちで携わっていくことになるのかはその時になってみないとわからないんですよね。先程お話したオーストラリアのシェフとつくったイベントも、思いがけない縁によって実現したものです。

そこで目の前に現れる人や自分が関係を持った一つ一つの縁を大事にしてほしいと思っています。

元々こだわりがあったとしても、そこに縛られずにいろんな人と出会って話して、その上でやってみたいことを判断してというように人間関係を大事にしてほしいですね。