[特集]
全国で流行りのサイクルツーリズムは事業として成立するの?(前編)

特集では、インタビューやキーワードから気になったコトを取り上げて対話形式で物事の本質に迫ります。

前編では飛騨・高山・白川郷に馴染みの深い、NOFATE(株)代表の藤田さんにお越しいただいております。

語り手:藤田雄也
総合商社・伊藤忠商事を退職後、NOFATE(株)を設立。商社での経験を踏まえ、”持続可能な観光地経営をデザインする”を掲げ、観光分野にとどまらず”サービスと利益を両立させる”地域ブランディングを手掛けている。
2019年地方創生大賞を受賞したことで、各地での講演やワークショップの引き合いが急増している。
聞き手:Yoichiro
飛騨高山出身のミュージシャン DAG FORCE として’04年頃から活動。’15年からNY在住。アーティスト業の傍らライティング、サウンドデザイン、映像制作など様々な表現手段を用いた活動は多岐に渡る。 わが地元「飛騨地域」を盛り上げようと日々奮闘している合掌ホールディングス CMOに刺激を受け、様々な人の「想いを伝える」役割を担っている。

[インタビュー]
ミュージシャン:DAG FORCE

2020.08.03
Yoichiro
最近地元でサイクルツーリズムって言葉をよく聞くんだけど、どういうものなのかな?
藤田
色んな種類があるけど、大きく分けて2つありますね。ツアー参加型かレンタルサイクリングですね。少数ですが、輪行といって、自分の自転車(GiantやMeridaなどのロードサイクル用自転車)を持って旅する人たちもいますね。
Yoichiro
なるほど、レンタルサイクリングは想像しやすいですね。駅の近くにレンタル自転車屋があって、6時間1,500円といった気軽に借りれるものだよね。
藤田
そうです、最強のビジネスモデルと言われてますよね。自転車の初期投資を回収してしまえば、後は土地代と管理人1人くらいで回りますからね。
Yoichiro
確かに立地が重要だけど管理コストが掛からない魅力的なビジネスモデルだね。
ところでツアー参加型とは?
藤田
これはガイド付きのサイクリングツアーのことですね。ウォーキング(徒歩)ツアーに比べると行動範囲は広がる一方、お客様との会話量はどうしても少なくなってしまいますね。
Yoichiro
ガイドがついているメリットって何ですか?
藤田
これはウォーキングツアー、サイクリングツアーともに言えることですが、現地の文化・歴史・生活風土・住居・写真スポットなど、普通の観光では発見できないコトや人に出会えることですかね。
Yoichiro
なるほど、あまりイメージがわきませんが、参加料はいくらいなんですか?
藤田
日本人は団体旅行以外の個人旅行で海外で現地ガイドツアーに申し込んだりする経験は多くはないでしょうね。費用はピンキリですが、大体3時間で平均7,000円くらいですかね。
Yoichiro
わっ!結構高いもんですね。美味しいイタリアンとか焼肉とか行けそうな価格だね!
藤田
何に価値を感じるかですね!欧米人は好奇心旺盛でよりローカルな体験ツアーを好むのでウォーキングツアーやサイクリングツアー、ワイナリーツアーなどには積極的に参加してるよね。日本のサイクリングツアーでも参加者全体の7,8割は欧米人じゃないかな。
Yoichiro
なるほど、確かにそういうイメージかも。全く想像できないんだけど、サイクリングツアーが全国で増え始めているけど事業者は儲かるのかな?
藤田
いいポイントだね。実はほとんど利益は出ない。正確にいうと個人事業主とか宿泊施設と絡めた事業としては良いと思いますけど、サイクリングツアーを主軸とした事業としては”おいしい”話ではないですよ!笑
Yoichiro
初期投資は少ないから儲かりそうだけどね。
藤田
小学生の算数ができれば、すぐにわかると思います。
例えばだけど、サイクリングツアーの老舗だと季節変動要素は排除して1日10人のお客さんとすると、営業、予約管理、ガイドと従業員が7人くらいは必要になってくるんだけど、こんな感じかな。
収益構造 (月額)

平均単価: 7,000円
体験人数: 300人
———————————————
売上  : 2,100,000円

従業員数: 7人
給与  : 200,000円 x 1.3(福利厚生)
賃料  :150,000円
———————————————
支出  :1,970,000円

藤田
給与20万円ってどうなの?、月300人も集めることできるの?ってツッコミはあるかもしれないけど、それにしても残るのは10万円ちょっと。本来なら必要経費はもっと多くの項目があるから、赤字ですよ。社長の報酬ないじゃん?ってなりますよね。
Yoichiro
こう見ると何だか事業として、やってはいけない感じはしてくるけど。
藤田
短絡的に手がけるのは危険ですね。宿泊事業がメインで体験がプラスαとか、ツアー以外でコンサルティング事業がある、など他からの収入があればやってもいいとは思いますが。。
藤田
地域性はありますが、雪の降る飛騨地域では12-3月の冬季は自転車は走れないので、サイクリング以外のツアーでお客様を集客するしかないですよね。
Yoichiro
なるほどね!さっきTripAdvisorを調べてたら、高山市のサイクリングツアーで検索すると3件ヒットして、1位は前回地域おこし協力隊の実態をお話ししてくれた世古さんですね!

前回の記事はこちら↓

[特集]
地域おこし協力隊って実際はうまくいってるの?(前編)

2020.08.20

[特集]
地域おこし協力隊って実際はうまくいってるの?(後編)

2020.08.20
藤田
それはすごいですね。確か実質稼動は1年くらいでこのレビュー数だから、相当お客様の満足度が高いんでしょうね!
キャリア10年のSATOYAMA CYCLING(里山サイクリング)の美ら地球さんやキャリア4年のHida iiyoさんを抑えての1位ってことは、ヒントが沢山ありそうですね!
Yoichiro
後編では世古さんにより深掘りした内容を聞いていきますね。藤田さん、本日はありがとうございました。

[特集]
全国で流行りのサイクルツーリズムは事業として成立するの?(後編)

2020.09.24