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本質を見失うな!本当に価値のあるコンテンツ・マーケティング

高齢化や都会への人口流出などで今どこの地方も苦境に立たされています。

2014年から政府は地方創生と銘打ち、地方移住や雇用促進などあらゆる政策を行ってきました。

ただどの政策もこれといった成果は出ていないようで、むしろ東京一極集中など人口流出の動きは加速さえしているそうです。

そのため各自治体は自力でこの状況を打破する必要も出てきており、それぞれがアクションを起こし始めています。

その中で今回は観光戦略の一つコンテンツ・マーケティングについて取り上げ、この戦略に関する誤解と各地域にとって本当に価値のある「コンテンツ・マーケティング」についてお話していきたいと思います。

コンテンツ・マーケティング≠情報発信

まずはコンテンツ・マーケティングに関するありがちな誤解についてです。

これは僕自身の経験に基づいていて、最近自治体やDMOの観光戦略会議にお邪魔する機会が増えてきました。

その中で必ずと言っていいほど耳にする言葉がこのコンテンツ・マーケティングなんですよね。

ただ彼らの話をよくよく聞いてみると「コンテンツ・マーケティング=情報発信」と誤解して捉えている人の多いこと…

まあ完全に間違いというわけではなく、30%くらいは正しいのですが、決してイコールではありません。

なぜこのような誤解が生まれてしまったのか考えてみましたが、恐らく彼らは他の地域やDMOで耳にしたなんとなく効果のありそうなものを「うちでもやればいいじゃないか」と思ったのではないでしょうか。

そしてその時コンテンツ・マーケティング戦略の中にSNSやインフルエンサーといった言葉が並べられていたため、「これは情報発信の戦略だ」と早合点したのだと思います。

確かに情報発信は観光戦略において重要なことではありますが、コンテンツ・マーケティングはそれだけを示してはおらず、より深い議論があってこその情報発信になります。

こういった誤解はもはやコンテンツ・マーケティングだけにとどまらないような気がしますが、まさに「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」という言葉が当てはまると思わずにはいられません。

観光に関して「OTA」「レスポンシブルツーリズム」など新しいキーワードが次々に生まれており、言葉や情報が増えていけばいくほど、その一つ一つについて深く理解しようとしなくなってしまうのではないでしょうか。

では次にコンテンツ・マーケティングとは何たるかをご説明しましょう。

自社の強みや優れた商品を生み出すことから

コンテンツ・マーケティングとはまさに「コンテンツ」を「マーケティング」していくことを示しています。

噛み砕いて説明すると、「自社の商品やサービス」を「真に求める顧客にその情報を届け、その価値を効果的に得られるようにする」ということです。

この時点で、情報発信はあくまでコンテンツ・マーケティングの一部だということが分かりますね。

ただ闇雲に情報発信することは愚の骨頂であり、コンテンツ・マーケティングにおいてはまず情報発信すべき商材が何なのかを見極める必要があります。

すなわち自社の強みを理解し、魅力的な商品・サービスを発見するもしくは生み出すことが求められます。

消費者である旅行者からしても、「何だこの観光商品は」と思うようなものを散々届けられても困る、というかむしろ迷惑なことですよね。

だからコンテンツ・マーケティング=情報発信と誤解したままでいるのはかなり危険なことだとも言えます。

大事なことなので何度も言いますが、コンテンツ・マーケティングにおいてまず第一にすべきは良質なコンテンツを見つけ出すもしくは生み出すことです。

そのためには地域内にどのような資源や魅力があるのかを理解する必要がありますし、それを観光商品にするための議論が必要不可欠です。

誰に届けたいのかターゲットを明確に

商材を用意できたら、続いては情報発信ではなく、ターゲットの選定になります。

その観光商品はどんな人なら買いたいと思うか、そしてどんな人に届けたいかです。

一般的にマーケティングと言うと前者しか考えないことが多いのですが、コンテンツ・マーケティングにおいては後者も重要です。というか後者の方が重要なくらいです。

ご存じの方なら分かるかと思うのですが、この後者の思考はレスポンシブル・ツーリズムと通ずるところがありますよね。

もし分からないという方は、こちらの記事も読んで頂くと理解が深まりやすいかと思います。

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新しい観光のカタチ -レスポンシブル・ツーリズムとは?

2020.09.16

このターゲットの選定は細ければ細かいほど良いと思います。例えば「欧米」という括りではなく「イギリス人30代女性」などのように具体的に。

重要なのは用意した魅力的なコンテンツからしっかりと導線をつなぐことです。

「〇〇な人は××だから必ずこの商品を買う」と論理的に説明できると素晴らしいでしょう。

そしてこのターゲット選定の後に、いよいよ情報発信となります。

この情報発信においても選定したターゲットから導線をつないで考えることが重要です。

先の例で言えば、イギリス人30代女性が使いそうなアプリやSNS、ブログでアプローチをかけていくのです。

「インフルエンサーが流行りみたいだからとりあえず招聘してブログを書いてもらおう」といった短絡的な思考には間違っても陥らないで下さい。

情報発信で外したら元も子もありませんから。コンテンツ・マーケティング=情報発信ではありませんが、もちろん重要なことなのです。

ここまででコンテンツ・マーケティングについて良く理解できたのではないでしょうか。

魅力的なコンテンツ作り・ターゲット選定・情報発信すべてが重要です。

ちなみにコンテンツ作りの段階からターゲットや情報発信方法について思考することももちろんOK です。むしろそうした方が戦略全体に厚みが出て良いと思います。

強力なコンテンツにファンは自ずと惹き寄せられる

最後にコンテンツ・マーケティングの成功例をお話しておきましょう。他でもない僕自身の作った外国人旅行者向けのサイクリングツアーです。

高山から約1時間の秘境・馬瀬を巡るサイクリングツアー

一番分かりやすい成果をお伝えすると、開始からたった2年でトリップアドバイザートラベラーズチョイスアワードを受賞したことです。

このアワードの何がすごいかというと、830万軒の観光施設のうち約1%しか受賞できないほど厳選されているという点です。

この成果の背景にはやはりコンテンツ・マーケティングがあると思っています。

商品づくりにおいて、まず徹底的に地域の魅力的なコンテンツを洗い出し、それを巧みに組み合わせたツアー商品を作ろうと考えました。

それに合わせ、誰に売り出したいかターゲットを明確にし、そのターゲットの旅行性向をもとにツアー発着場所や時間などあらゆる側面から最適なプロダクトを作り出したのです。

例えば、ターゲットとしたアメリカ・イギリス・オーストラリアの旅行者は統計上、高山で2・3泊していることが分かりその交通手段はほとんどが鉄道でした。

そのためツアー発着場所は駅前がベストと判断し、ツアー時間も鉄道の時刻表と照らしあわせたほか、高山からの日帰り旅行ツアーとして位置づけてもらうために6時間と長めのツアーにすることにしました。

情報発信においても実際にツアーへ参加してくれたゲストに協力してもらい、ほぼ口コミ一本で勝負しています。

ツアー参加者から寄せられた口コミ

そのターゲットのために作り出したツアーだからこそ、ツアー参加者の満足度は自ずと高くなり、ファンとなった彼らがまた次のゲストを呼び込んでくれるという具合です。

これはアンバサダー・マーケティング的な要素も含まれていますが、最初に意識したのはコンテンツ・マーケティングでした。

このようにターゲットにとって魅力的なコンテンツを作り出し適切な方法で情報発信をしていくことで素晴らしい成果につながるのです。

コンテンツ・マーケティングの成功例として自身のツアーを紹介させて頂きました。

言葉に踊らされて本質を見失わないように

以上、今回は観光戦略の一つコンテンツ・マーケティングについてお話していきました。

冒頭でも述べた通り、この戦略については誤解している方も多く、観光戦略が情報発信だけに終始してしまっている地域もあるのではないかと思います。

地域活性化や地方創生に向けた観光地域づくりのためにもコンテンツ・マーケティングはとても重要です。

言葉に踊らされることなく、地域内で本質的な議論を重ね一つ一つ実践していけば、自ずと成果は出てくることでしょう。

そしてその時こそ各地域にとって本当に価値のあるコンテンツ・マーケティングが出来上がるはずです。

付け焼刃的な戦略をただ実行するのではなく、地域で練り上げた戦略を一歩一歩着実に遂行していってほしいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます。