[思考]
高齢化・過疎化地域にこそ求められるコミュニティ形成

これまでに地方創生をテーマに地方が衰退している現状などをお話してきました。

今回は特に高齢化・過疎化の傾向が著しいもしくは近い将来そうなってくるような地域にとって、大切なお話をしていきたいと思います。

タイトルにも書いた、コミュニティ形成が今日本全国の農村漁村をはじめたとした、過疎化地域において必要となってきています。

今回の記事で、このコミュニティ形成の現状や優良事例、コミュニティ形成や維持における重要な視点などについてご説明しております。

まちづくりや地域おこしに取り組まれる方、過疎化地域の方にはぜひ参考にして頂きたいです。

そもそもコミュニティって?

英文の書かれたアンティーク調の紙

まず、念のためコミュニティの意味についておさらいしておきましょう。

コミュニティ=Communityとは、共同体という意味です。

コミュニティには大小関係なく、何かの目的があって複数人が集まるグループとお考え下さい。

企業はCompanyですが、利益を最大限出すことを目的に構成されるグループです。

目的に基づいて複数人集まっているという意味では企業もコミュニティの一つと言ってよいでしょう。

ただ、今回の記事内で示すコミュニティはあくまで農村漁村など地域におけるコミュニティのことです。

ここでは地域コミュニティと呼ぶことにしましょう。班や組などはもちろんこの地域コミュニティになります。

では、この地域コミュニティの役割と現状についてお話していきましょう。

地域コミュニティの役割と現状

荒廃した無人の住宅

まず地域コミュニティの役割ついて一言で表すことのできる言葉があります。それは共助です。

地域コミュニティは集落・地域内の共助機能として古くからそして現在もその働きを続けています。

具体的には棚田や森林など景観の整備をはじめ、水路などライフラインの維持管理などを行っています。

地域コミュニティの構成員はもちろん集落内の住民です。ただ高齢化・過疎化が進んでいくと、この地域コミュニティの維持が難しくなってくるわけですね。

その結果として、農地や畑の荒廃、景観の悪化などが進み、集落の存続までもが危ぶまれるわけです。その極限状態として認識されているのが、限界集落なのです。

現在、地域コミュニティを支えているのは団塊の世代である60〜70代と言われています。

僕も山奥の村に住んでいる身ですので、それはよく分かります。いつも草刈りや奉仕活動に精力的に参加されているのはその世代の方ばかりですね。

でも、この方達が年をとって動けなくなってしまったり、亡くなってしまったりしたらどうなるんだろうとふと疑問に感じたこともあります。

僕のその疑問はその通りと言うか、限界集落などではそれがすでに現実となってしまい、コミュニティが崩壊しているところもあるわけです。

ただ様々な地域でそれを食い止める策が講じられていますよね。例えば僕が活用した地域おこし協力隊という制度。

それ以外にも様々な移住・定住施策が各自治体で取られており、20代から40代などの比較的若い世代の流入によってコミュニティ維持を図っています。

ここまででざっとコミュニティの役割と現状についてはお分かり頂けましたでしょうか。

地域の中で共助機能を担うコミュニティですが、高齢化・過疎化が進んでいくと維持が難しくなります。

現状では60代から70代の方が踏ん張っておられますが、数十年後を考えるととても安心はできないのです。

では、次に新たなコミュニティの形・役割が各地で生まれているようなので、それを事例としてご紹介致します。

新しい地域コミュニティの形

市場に陳列されたトマト

高知県旧西土佐村大宮地区

この大宮地区では、JAのガソリンスタンドが撤退したことにより、冬の暖房用灯油や農機具用軽油などの入手が難しくなってしまいました。

その中でも遠くへは行きづらい高齢者などが大変苦慮していたそうです。

そこで住民は結束して出資をし、株式会社大宮産業を設立し、スーパーとガソリンスタンドを引き継ぎ、経営を始めたのです。

さらに旧保育所を改装して多目的集会所とし、 葬祭事業に取り組むこともしています。

高齢化ということで毎年十名ほど亡くなられるそうです。

ただ地域内に葬祭場があるため、住民も参列しやすいし、何より地域内で経済活動が行えることが最大のメリットと言えます。

住民が民間企業を設立するというのは本当にすごいことだなと感じましたが、これら全て住民主導で進んでいった事業のようです。

こういった地域が全国にあると地方部も心強い気がしますよね。

福島県只見町明和地区

続いては全国有数の豪雪地帯である福島県只見町での取り組みです。

ここ明和地区では、自治振興会の事業として、高齢者を対象にした買い物支援バスの運行に取り組んでいます。

県の補助を受けながらではありますが、高齢者は年間1,000円の登録費を払い、 毎週火曜日の午前中にバスが運行しています。

バスは地区内の集落を回って、利用者は中心集落の商店で買い物をすることができます。

買い物支援が主目的ではありましたが、地元商店を利用することで、地域の経済に貢献できます。

また、高齢者の荷物持ちなどの手助けのために団塊世代の住民が添乗員として同乗しています。

それにより世代間の交流も生まれるほか、住民の安否確認も行えるので、副次的効果も多くあったようです。

コミュニティ形成における重要な視点

木造の教室と黒板

最後にコミュニティの形成や維持にあたって重要な視点をご紹介して、記事を終わりにしたいと思います。

重要な視点は全部で3つあります。地域外流出の防止、地域内流入の促進、そして地域内消費の拡大です。

どれも当然のことではありますが、特に重要なのが1つ目の流出を食い止めること。

人口流出の最も大きな原因は雇用です。仕事がなければ生活ができない。地域に仕事がなければ出ていくしかありませんよね。

ただすぐに雇用を生むのは難しいことですから、より感情的な部分にも視点をおいてみるとよいでしょう。

その集落や地域の魅力を伝える・感じてもらうことです。

もちろん土着の人間で、すでに50代を越えている方は流出の可能性は低いでしょうから、より若い世代への訴えかけは大事でしょう。

また、地域の魅力を発見し伝えていくことは地域外からの流入にもつながってきます。

生活において経済的理由は重要ではありますが、感情面も同じくらい大事だと思います。

さらに、事例でも紹介した通り、地域内の消費を拡大することも重要です。

お店が少なくなれば不便になってしまいますし、地域外流出を助長してしまう要因となります。

地域経済が回り、かつ地域の魅力を住民と地域外の方が実感できるような取り組みをぜひ模索していってほしいと思います。

おわりに

黄金色の稲穂と社

今回は高齢化・過疎化地域に求められるコミュニティ形成と題して、地域コミュニティの役割や新たな事例、コミュニティ形成における重要な視点についてお話していきました。

限界集落や地方の衰退している部分を目の当たりにするのは、とても心が痛むことではありますが、現状を打破できることは何でもやっていきたいですよね。

特に、地域外流出を食い止め、地域内流入の促進と地域消費の拡大を目指すことで、コミュニティ形成や維持が円滑的に進みます。

それ自体がまちおこし、地方創生と言えますし、何も難しく考えることはないのです。

地域コミュニティに視点を置きながら、今何ができるか、何をすべきか周りの住民の方々とまずは話し合ってみましょう。