[思考]
多様化する生き方とまちづくりに重要なシビックプライド

さて、今回のテーマはシビックプライドです。おそらく聞いたこともないという方も多いことでしょう。大丈夫ですよ、しっかり解説していきますから。

このシビックプライドは、まちづくりや地域住民の意識形成において非常に重要な役割を持っています。

合掌ヴィレッジでは持続可能な観光地経営を主軸として、地方に関する記事を多く取り扱っていますが、シビックプライドは都市部や地方部など場所に関係なく大切になってきます。

まずは言葉の意味と源流について見ていきましょう。

シビックプライドとは

夜のロンドンブリッジ

シビックプライド(Civic Pride)とは都市や地域に対する市民の誇りを示す言葉です

日本語でも郷土愛ということがありますが、微妙に違った意味になります。

郷土愛は地元や地域への愛情の意味ですが、シビックプライドには当事者意識の意味合いが含まれています。

市民としての権利や誇りを感じながら、自らが主体的に都市や地域に対して働きかけていくという意味です。

このシビックプライドの起こりは産業革命期のイギリスにあります。

鉄鋼業などの産業の発展に伴い、地域の主体が徐々に王族や貴族階級から中流階級へと移っていきました。

産業がおこると、そこには新しい街や都市が生まれました。

その時中流階級の人々が住民に必要な公共施設建設を含めまちづくりに積極的に関わったことで、住民全体に「自分たちの街を自分たちの手で良くしていく」という気持ちが芽生えました。

それが始まりとなってシビックプライドが形成されていき全国的に広まっていったとされています。

元々は19世紀のイギリスでおこったシビックプライドでしたが、現代の日本でもその言葉が使われ始めています。

次に紹介するのは現代におけるシビックプライドについてです。

現代におけるシビックプライド

デスクでパソコン作業する人

まず言っておきたいのが、シビックプライドが最近になって日本で起こったわけではないということです。

元々そういった意識はあったけれども、それを的確に表す言葉がなかったということです。

そして現代日本におけるシビックプライドを考える上で、多様化している生き方や働き方も見逃せません。

終身雇用制に期待できなくなったことにより、生活における仕事の割合が徐々に減少している傾向にあります。

やりがいや喜びを趣味や家族、友人に充てる人が増えてきているということですね。

それ以外にも地域に対して貢献する動きも見られており、それがシビックプライドと重なるわけです。

現に、地方移住をする人や、退職後に地方でカフェを開く人もいます。

大きな組織の一員として働くことと異なり、顔見知りの中で小さな仕事をすることにやりがいを抱く、そんな新しい価値観が生まれているんです。

それを実現するには、都市部よりも地方の方が適しているのでしょう。

現代日本において、シビックプライドが注目され始めたのには、働き方や生き方などの選択肢が多様化してきたからと言えそうです。

では最後に、このシビックプライドとまちづくりや地域活性化との関わりについて見ていきたいと思います。

シビックプライドとまちづくり

テーブルに置かれた砂時計

シビックプライドそれ自体をデザインしたり作り上げたりすることはできません。

なぜならシビックプライドは住民それぞれの内から起こってくるものだからです。

ただ、何かのイベントや接点を通じて住民のシビックプライドが育っていくことは十分考えられます。

住民のシビックプライド、つまり地域への主体的な働きかけを促すには、多面的なコミュニケーションポイントを持つことが重要です。

いかなるコミュニケーションポイントでも構いません。広告やウェブサイト、ワークショップに都市景観など多様です。

ここで重要なのはそれぞれを独立した単体として終わらせるのではなく、相互に組み合わせながら長期的に住民の意識形成を図っていくことです。

シビックプライドの醸成は長期的な事業なのです。そのため政府の補助金事業など、期限付きの事業などではかなり困難となってきます。

イベントや事業がきっかけとして、福祉や教育、地域の習慣などに取り込んでいけると、長期的なものとなり、シビックプライドの醸成につながるでしょう。

そして19世紀のイギリスと同じように、住民が地域の価値を再定義することで、それまでにない新しい地域形成やライフスタイルの構築につながるのです。

冒頭でも述べたとおり、シビックプライドは都市部や地方部に関係なく重要な役割を担いますので、まちづくりや地域活性化活動の中で意識してみるとよいと思います。

おわりに

ベンチでひとやすみ

いかがだったでしょうか。今回はまちづくりや地域住民の意識形成において非常に重要な役割をもつシビックプライドについて扱っていきました。

シビックプライドの源流は19世紀のイギリスにありますが、働き方や生き方が多様化している現代日本においても注目されているんですね。

人口移動などにより地域格差も激化しているので、特に地方部では早め早めの対策が必要になってきます。

シビックプライド醸成は時間の要することなので、長期的な都市計画・まちづくり計画を進めていってほしいと思います。

今後さらにライフスタイルは変わっていくでしょうから、個人的にも地域のシビックプライドには注目していきたいと思います。