[特集]地域おこし協力隊って実際はうまくいってるの?(前編)

特集では、インタビューやキーワードから気になった事を取り上げて対話形式で物事の本質に迫ります。

前編ではここ数年白川郷でビジネスを展開している藤田さんとの対談になります。

プロフィール
藤田 雄也

総合商社・伊藤忠商事を退職後、NOFATE(株)を設立。商社での経験を踏まえ、”持続可能な観光地経営をデザインする”を掲げ、観光分野にとどまらず”サービスと利益を両立させる”地域ブランディングを手掛けている。
2019年地方創生大賞を受賞したことで、各地での講演やワークショップの引き合いが急増している。

聞き手プロフィール
Yoichiro

飛騨高山出身のミュージシャン DAG FORCE として’04年頃から活動。’15年からNY在住。アーティスト業の傍らライティング、サウンドデザイン、映像制作など様々な表現手段を用いた活動は多岐に渡る。 わが地元「飛騨地域」を盛り上げようと日々奮闘している合掌ホールディングス CMOに刺激を受け、様々な人の「想いを伝える」役割を担っている。

Yoichiro

最近地域おこし協力隊という存在を知ったんだけど、白川村でもいるのかな?

藤田

いますね。現在までに合計10人が協力隊として村に従事してるね。

Yoichiro

任期を終えて定住している人は何人?

藤田

今は2名のみですね。さらに現職として、1名はパン職人、1名は農業従事者として任務しているようです。

Yoichiro

任期を終えた2名はどのように生計を立てているのかな?

藤田

行政からの委託で移住誘致や、週末にパン屋を営業してるとかですね。

Yoichiro

協力隊って3年間の任期内で当該人材の任地への定住・起業を支援するものですよね。4分の1しか定住に結びついてないんだね。成果と課題という意味では課題の方が大きいような気がするけど。離れてしまった方は白川郷に残る選択肢はなかったのかな?

藤田

いい指摘だね。それぞれの事情があるとは思うけど、実は受入態勢に課題があるかな。今の制度設計では持続可能性という意味では非常に難しいかと。というのも外から来た人が3年という長いようで短い任期内で地域に馴染む、地域課題の本質を見極める、生計を立てるための商売を作る、なんてことができるとは到底思えないし。そんなことができるエネルギッシュな人はそもそも地域おこし協力隊の制度なんかは使わないでしょう(笑)

Yoichiro

なるほど、確かに起業家、いやそれ以上のエネルギーが必要だろうね。どこが課題の本質なんだろう?

藤田

そもそも論として、受入前にやるべきことができていないケースが多くあるよね。白川郷のケースでいくと、観光振興と移住促進という2つのミッションを協力隊に課してきたけどが、ミッション自体がざっくりしているかな。受け入れる側の在りたい将来像をキャンパスにうまく描けているかいないかというところは大きなポイントかな。あとは地域住民を巻き込んでなかったことかな。
では当時の問題点は何かというと、観光面では一極集中となっているオーバーツーリズムの解消、移住促進では移住者を受け入れるための地域住民の理解、ということかな。先に問題点を明確化することで、これらのミッションを遂行できる人材を探してくという流れになるしね。

Yoichiro

そうだね、なんでもそうだけど最初の制度設計が一番大切だよね。

藤田

その通りだね!地域おこし協力隊の最優先課題は、”受入前の制度設計にあり”だと思うね。最初の入り口を間違えてしまうと、協力隊員は自分のミッションを見失ってしまい、さらに地域住民から税金の無駄遣いと言われてしまったり、地域に馴染めずに任期満了、もしくは任務中に離脱してしまうしね。

Yoichiro

悲しい現実だね。ところで採用ってどのように行ってるんですか?

藤田

そこら辺、私は詳しくないので、実際の協力隊員に聞いてみましょうか?

地域おこし協力隊の採用までの流れ

どこの自治体も大体下記のような流れで隊員を採用しています。

  1. 受け入れ組織と自治体で募集概要(ミッションや求める人材像など)を作成
  2. 協力隊募集ポータルサイトなどへ掲載
  3. 希望者が自治体へ応募
  4. 書類選考(1次)と面接(2次)で合否の判定

面接では役場職員だけでなく受け入れ予定の組織の役員や地元住民などに面接官にとして参加してもらうところもあるようです。
ただ実際、募集概要がかなり曖昧なところが多いようで、藤田さんがおっしゃるように制度設計や受け入れ態勢に問題があるように思われます。

下呂市地域おこし協力隊OB 世古乃佑

Yoichiro

なるほど。実態はさておき、採用形式については民間のそれと大差ないようですね。それでは元商社マンの藤田さんが首長ならどうしていきますか?

藤田

いい質問だね!私なら制度設計に全てを注ぎ込みますね。

協力隊員採用のロードマップ

・これまでの協力隊員の成果と課題を分析・調査
・周辺地域、全国各地の成果と課題を分析・調査
・自地域の強み弱み得意苦手のマトリックスを整理
・地域が協力隊員に解決してほしいミッションを列挙する
・上記ミッション及び地域住民とのつなぎ役を住民投票制で決める
・決定したミッションを公布、発信
・候補者数名に数週間来てもらい、最終判断

Yoichiro

すごい具体的だね。地域住民とのつなぎ役とは何かな?

藤田

協力隊員はいきなり新しいコミュニティに入っていくことはものすごく勇気のいることだし、関係を構築することに時間とエネルギーを必要とします。そこで普段から住民とコミュニケーションを取っている方が仲介役となり、協力隊員を紹介していく、事あるごとに会合や集会などの集まりに同席させてあげる事が大切。ここに年齢は関係ないと思ってます。

Yoichiro

なるほど、確かにそういった仲介役がいたらいいだろうなーとは思うな。

藤田

私が商社で働いていた時の経験から言うと、人間関係を構築することが最も時間とエネルギーが必要なんだよね。前任者からの業務引継の際、業務内容だけでなく取引先や顧客のパーソナリティまでしっかり落とし込んで引継ができていると、その後の仕事はスムーズにいきました。
逆にそこが適当だと、後々色々なトラブルが発生してしまう。企業対企業とはいえ、最終的にはヒトとヒトがやり取りしているので。恐らくだけど、地域おこし協力隊の成功事例として取り上げられている地域ではこういったごく当たり前のことがしっかりとできているのだと思うね。

Yoichiro

そうかもしれないね。前編では白川郷というミクロから具体案まで出してもらったし、後編では他の地域の実態も聞いてみようかと思います。どなたか知ってる人いますか?

藤田

上で採用について紹介してくれた、同じ飛騨地域の下呂市の世古くんなんかはどうだろう?

Yoichiro

いいですね、それでは後編も楽しみにしています。今日はありがとうございました。

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この記事を書いた人

かなりの頻度で白川郷に出没する青年。
何度も足を運ぶうちに、合掌造りの維持や保存には相当な労力が掛かっていることや結(ゆい)の文化がなくなりつつあることを知り、よそ者の自分にでもやれることはあるはず!と意気込んで日々奮闘中。本メディアの責任者。

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