[特集]地域おこし協力隊って実際はうまくいってるの?(後編)

特集では、インタビューやキーワードから気になった事を取り上げて対話形式で物事の本質に迫ります。

今回は地域おこし協力隊の現状に関しての後編ということで、下呂市地域おこし協力隊OBである世古さんとの対談になります。

プロフィール
世古 乃佑

インバウンド体験事業の創出をミッションとして2017年より下呂市馬瀬地域に着任。2019年には約500名ほどの外国人旅行者が体験ツアーに参加。大手旅行サイト主催のアワード受賞、海外メディアへの掲載経験などがある。コロナウイルスの影響で新規ウェブ事業にも着手。

聞き手プロフィール
Yoichiro

飛騨高山出身のミュージシャン DAG FORCE として’04年頃から活動。’15年からNY在住。アーティスト業の傍らライティング、サウンドデザイン、映像制作など様々な表現手段を用いた活動は多岐に渡る。 わが地元「飛騨地域」を盛り上げようと日々奮闘している合掌ホールディングス CMOに刺激を受け、様々な人の「想いを伝える」役割を担っている。

Yoichiro

前回の対談では白川村の地域おこし協力隊について色々聞かせて頂きました。今回はまた別の地域での地域おこし協力隊の実態に迫っていきたいと思います。世古さんどうぞ宜しくお願いします。

宜しくお願いします。

Yoichiro

早速ですが、世古さんの地域では現在何名ほどの現役協力隊、協力隊OBがいらっしゃるのでしょうか?

馬瀬地域には現役1名、OB・OG3名で、広く下呂市としては現役3名、OB・OG10名ですね。

Yoichiro

結構いらっしゃるんですね!その中で任期を終えて定住している方はどれくらいいて、それぞれ何をされているのでしょうか?

下呂は定住率が高くて、馬瀬地域は100%の3名、下呂市としては70%の7名が定住しています。下呂ということもあり任期後は観光分野に携わっている人がほとんどですね。

Yoichiro

白川村は全体の4分の1しか定住に結びついていなかったので、下呂市は驚異的な数字ですね。

確かに数字だけ見ると定住率70%はすごいです。しかも3年任期満了後の定住率となると100%ですからね。ただ個人的にはまだまだ制度を活かしきれていないと思っています。特に定住後の隊員の経済的な部分はかなり不安定ですからね。あ、僕も含めて笑

Yoichiro

そうなんですね。では現状の地域おこし協力隊制度のどの部分が具体的に上手くいっていない原因だと考えますか?

広い部分で言えば受け入れ態勢の整備につきるでしょう。細かく言えば、協力隊制度によってどんな効果を地域にもたらしたいのか、またどのような隊員であればそれを達成できるかなど募集段階からの綿密な策定と言えます。

Yoichiro

なるほど。それはつまり受け入れ組織や自治体が地域の抱える課題について事前に思考できておらず、的はずれなことをやっているかもしれないということでしょうか?

厳しく言えばそういうことになります。下呂も定住率こそ高いですが、この定住率の高さは隊員自身のマインドやスキルといった属人的なものからきているに過ぎないのです。たまたま良い人が下呂に来ただけと思っています。
任期中基本的に野放し状態で、定期的な人事評価や活性化の効果測定などは全くありませんでした。もちろん下呂に着任した隊員の多くがそのスタイルに合致していたから伸び伸び活動できていたとは思います。ただそれは都合良く「放任主義」と言っているだけであって、制度として活かし切るのであれば全くもってナンセンスと言えるのではないでしょうか。

Yoichiro

やはりOBの方の意見は説得力が違いますね!そうなると、受け入れ側でまず地域課題の精査が必要となりますよね。

そうですね。課題の本質を探ることがまず重要でしょう。その課題によっては地域おこし協力隊を受け入れることが最善ではないかもしれませんし、企業誘致や異なる移住促進の形でもいいかと思います。少なくとも地域おこし協力隊の3年という任期は隊員のキャリア面においても大きく影響するので、「他の地域でもやっているから」「とりあえず地域活性化活動をしよう」といった安易な考えで始めるのはもってのほかでしょうね。といってもそういう地域がたくさんあることもまた事実なんですが…
僕はまだマシな方だったと思いますが、任期途中であえなく帰った方や地域住民との関わりで悩まれているような方は本当に残念だと思います。地方創生の制度としてあるはずなのに、全く活かしきれていない現状には歯がゆさを感じずにはいられませんね。

Yoichiro

いやほんとそうですよね。よく協力隊に関する悲惨なニュースも見ますし。

全てがそうでないにしても、隊員が地域住民とトラブルを起こしてしまったりと、そういったケースは往々にしてあるようです。そこにはやはり受け入れサイドの設計に問題がある気がしてなりませんね。何のために協力体制度を利用しているのか、隊員には何を求めているのかなど根本から考える必要があると思っています。
着任後は協力隊自身も考えていくべきことですが、募集段階においてはそうはいきませんよね。自治体が組織を巻き込むでも地域住民を巻き込むでもなんでもいいと思います。その地域のために協力体制度を活用するのですから、まずは地域課題の洗い出しや必要な戦略の立案をやってみるべきでしょうね。個人的にはツアーやウェブ事業以外にも協力隊関係のサポートもやっていきたいなと考えています。

Yoichiro

なるほど。でも世古さんであれば自身の協力隊・起業経験などから色々な提案ができそうですよね。ぜひそういった活動にも従事されてほしいと思います。

そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます。

Yoichiro

いえいえ、こちらこそ今回は貴重なお話をありがとうございます。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

Daiのアバター Dai Webコンテンツ担当

東京都出身。人口約1000人の馬瀬村へ移住し外国人ツアー事業を始めた若手起業家。
欧米豪からの旅行者を中心に人気を博し、2019年にはトリップアドバイザー・トラベラーズチョイスアワードを受賞。ガイド業の傍ら、地元事業者を中心にHP作成などウェブ関連のサポートも手掛けている。

コメント

コメント一覧 (6,057件)