[思考]
付加価値を高めよ!これからの観光地経営に求められる視点

「付加価値を高めよ」という言葉を聞いたことはありませんか。よく企業経営において用いられる言葉です。

昨今、一般的なサービスや商品以外の市場でも競争が激化しています。

観光はもちろんのこと、移住・定住市場においても様々な地域が移住者の獲得のためにしのぎを削っています。

今回はそんな競争市場を勝ち抜くために、まず付加価値の意味について理解してもらった上で、観光地経営や地域づくりなどに応用できるお話をできたらと思っています。

付加価値とはなにか

机に置かれた洋書とお茶菓子

付加価値の意味は端的に表すと、素材や材料を生産活動により加工することで新たに付与された価値となります。

電化製品でも美容室でも人件費や設備費、広告宣伝費などをかけた上で、商品やサービスを生み、その価値に応じて価格などが決められています。

この価格から諸々の費用を引いた分が付加価値ということになります。

そしてこの付加価値には大きく分けて3つの種類がありますので、それについても触れておきましょう。

機能的価値

機能的価値というのは、機能によって顧客課題を解決できる価値です。

この世界には顧客の問題を解決するために、あらゆる商品やサービスが存在しています。

より手軽にコミュニケーションを取るために携帯電話が生まれ、部屋をより効率的にきれいにするために掃除機が生まれました。

機能的価値というのは携帯電話で言えば容量や通話音質などのスペック部分にあたります。

つまり「機能」そのものが顧客の課題を解決するわけで、その付加価値を機能的価値と呼びます。

情緒的価値

それに対し、情緒的価値とはそのサービスや商品を受けている/持っているだけで心が満たされるものです。

携帯電話を例に取ると、Apple社のiPhoneは持っているだけで、なんだか先進的でクールな印象を持たせてくれますよね。

そういった人間の情に訴えかけられるような価値を情緒的価値と呼びます。

社会的価値

最後の社会的価値は、顧客自らが社会に良いインパクトを与えている感覚を与える価値になります。

「この商品を1つ買うと世界の貧しいことも100人を救うことができます」といった宣伝文句は社会的価値の例です。

自分がそのサービスや商品を消費するだけで、社会にメリットをもたらせるという消費者心理をくすぐる付加価値が、社会的価値と呼ばれています。

ここまでで付加価値についてはよく理解して頂けたかと思います。

生産活動により新たに付与されたものが付加価値で、付加価値には3種類あるということでした。

では次に付加価値を高めるためにはどのようなアクションを取ればよいのか、についてお話していきたいと思います。

付加価値を高めるには

上昇曲線を描いたグラフ

付加価値を高めるために出来ることはいくつかありますが、そのアプローチ方法には大きく分けて2種類の考え方があります。まずはそれについてご説明しましょう。

絶対価値と相対価値

絶対価値を高めるのか、相対価値を高めるのかということです。

絶対価値というのはその商品やサービスに備わる価値そのものです。

相対価値というのは同じものであっても、顧客・消費者によって感じ方が異なる価値です。

30,000円のAndroidスマホはスマホデビューの方には十分なスペック・価格ですが、iPhoneしか認めないようなAppleユーザーからしたらその価値は低くなることでしょう。

ここで30,000円という価格が絶対価値。消費者によって感じ方が異なる価値が相対的価値です。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほどの3つの付加価値を合わせて考えると、機能的価値は絶対価値、情緒的価値・社会的価値は相対価値と分類ができます。

全ての商品・サービスにおいてそうだとは言えませんが、一般的にこの分類でOKです。

続いて本題の付加価値を高める方法について見ていきましょう。

付加価値を高める一般的な方法

以下に上げる方法が考えられます。

  • 機能面の質の向上
  • ノウハウの蓄積や技術革新
  • より良い人材の獲得
  • 設備費や広告費などあらゆるコストの削減

挙げればきりがないのでこの辺にしておきますが、付加価値を高めるために出来ることは多いです。

ただ、これらは実現可能性に乏しく、効果性も低いものもあり、ベストな策とは言えません。

特に中小企業など、小さい規模の企業や団体などにとってはあまりおすすめできない方法です。

ここで気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、これらの施策は全て絶対価値、すなわち機能的価値に目を向けたものなのです。

基本的に、どんな市場においても機能的価値というのは飽和しがちです。

様々な企業が市場に参入してくると、各社それなりの製品を作ることが出来るようになり、いわゆるコモディティ商品が乱立してしまうわけです。

そうなるといくら人材や設備を入れ替えたとしても、あまり効果を期待することができなくなってしまうのです。

そのためある程度飽和化している商品やサービスの市場においては、絶対価値の機能的価値に目を向けるのではなく、相対価値である情緒的価値や社会的価値に目を向けるべきだと言えます。

それでは次に観光地経営などにおいてこれらの視点がどのように応用できるかについて見ていきたいと思います。

観光地経営における付加価値

ローマのコロッセオと賑う観光客

基本的にはこれまでの内容をそのまま応用できると思って頂いてOKです。

絶対価値ではなく相対価値に着目し、旅行者に対してどのような情緒的価値や社会的価値を付加価値として与えられるのか考えましょう。

(まあそもそも観光において機能的価値とはあまり考えにくい気もしますが…笑)

そのために自分たちの地域資源が何なのかをもう一度見つめ直すことが必要となってくるでしょう。

その上で、どのような人にその価値を感じてもらいたいか、どのような人であればその価値を付加価値として最大限感じ取ってくれるのかを考えていくとよいでしょう。

それが見えてくれば適切なブランディングやマーケティングが自ずと出来上がってくるはずです。

そして、先にも述べた通り、これらは財源に乏しい小さな観光地や地域には特に重要な視点となってきます。

大観光地であればそれまでのブランドで集客力にも長けていますし、地域内のサービスや施設もそれなりのものでしょう。

小さな地域が観光地として、移住先として今後戦っていくには、そういった大きな地域とは別のフィールドで勝負する必要があります。

自分たちにしか出せない、唯一無二の価値を見つけ育てていくことから始めていってほしいと思います。

どのような人に、どのように感じ取ってもらいたいかを思考することそれ自体が、付加価値を高めることにつながっていくはずです。

おわりに

水晶球の中で反転する日没の夕暮れ

いかがだったでしょうか。今回は観光地経営において付加価値を高めよと題して、付加価値についての説明や付加価値向上施策についてご説明していきました。

今回ご紹介したように、企業経営でも観光地経営でも重要な視点は付加価値の中でも相対価値である情緒的価値と社会的価値です。

市場におけるプレゼンスも低いような地域であればなおさらそれらに注力すべきです。

観光市場や移住市場が今後どう動いていくか予想することは容易ではありませんが、付加価値を高められる地域は残っていくでしょうから、ぜひ積極的に取り組んでいってほしいと思います。